銀行辞めてみた1(表彰基準・暴力事件・業務改善命令)

こんにちは、あおやんです。世間様ではコロナで大騒ぎです。

そんな中ですが会社を辞めてみました。

いろんな雑誌で銀行には未来がないって書いてあったし、SPA!も副業とかした方がいいよって言ってたので。

私は15年、地方銀行で勤めていました。

思い出が風化してしまう前に日記的に書いておきます。

基本的に前職は好きでした。気の合う仲間もいたし、仕事もしやすかったですしね。

 

地方銀行の職員

●お金

最後の令和元年の年収は720万円でした。その前が800万円だったのが残業代が全部吹っ飛んだことが大きな要因。配偶者手当も地味に削っていかれたのも痛かったです。

退職金は15年勤めて200万円でした。

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お給料は私の頃の初任給は17万4千円、今は21万くらいもらってるのかな。

勤続7年くらいの係長で年収650万円、勤続10年くらいの支店長代理で年収800万円ですね。

その上の次長クラス(支店の部署ごとの責任者)1,000万円、支店長1200万円。

退職金は平均的には定年まで(大学出てから33年)勤めて退職金は1,000万円。早期退職では掛目が発生するので少なくなっちゃうんですね。

そしてみんなが目指す役員になれるとストックオプションを使って自分の銀行の株をめちゃめちゃ安く買えるって寸法です。役員になると銀行を退職後に銀行の関連会社(カード会社、証券会社、保証会社、親密保険会社など)でまた退職金をもらってウハウハというのが銀行員の最高のシナリオとなります。役員になれるのは総合職の同期100人のうち1人とかですね。

●退職

正社員としては55歳で退職。その後は1年ごとの契約社員となり給料は4割減です。60歳からはバイト扱いとなり時給1,200円くらいになります。そして65歳で完全に退職となりますね。

支店に残ったおじさんたちは『仕事同じなのに給料下がってやってられない』というのが口癖。しかし支店に残れるのは幸運なことなんじゃないでしょうか。支店長経験者は銀行の中には残ることはできず、強制的に前述の関連会社に行きます。そうして支店に対して営業活動するのですが(うちの保険使ってくださいよって)、人望のない人はかつての部下から『今いないって言っとけ』ってやられていましたね。

●支店の仕事

支店の中では預金係、融資係、営業係と分かれています。ヒエラルキーも下からこの順番です。あくまでお金を稼ぐ営業が偉いというわけですね。偉いというよりは出世に対してスピードが変わってきます。営業係でバリバリやっている同期が最短ルート(一選抜といいます)で役がつくのに同じ店で融資係の同期は役がつくのに2年遅れる3年遅れるなんていうのはザラにあります。また法人営業をできることがとてもステータスになります。

●銀行員たち

基本的に真面目で頭のいい人たちが多かったと思います(私は能力不足でしたけど)。銀行では歩合という考え方はなくボーナス(私の場合は720万円の年収のうち夏と冬のボーナスが100万円ずつと言った感じ)でご褒美をもらう形式です。そして支店への貢献度が高ければ出世のスピードが上がるということです。みんなここを目指して日夜お仕事に精を出しているわけです。

銀行業界はマイナス金利政策で貸したお金と預かったお金の利息の差(資金利益)が少なくなっており、経営が苦しくて仕方ないので手数料ビジネス(役務収益)に傾いていっています。M &Aなんかは1,000万円規模で手数料もらえるので銀行員は大好きです。他にも事業性融資に特別な条件(赤字にならないでくださいねとか)を付けて『特別な融資なんで100万手数料もらいますね』というので手数料を稼ぐのが好きみたいです、あの手数料には何の意味もないのにみんな支払っているというわけですね(コベナンツ手数料の提案があったら、その金利で審査通してくれる新しい銀行探した方がいいです)。個人のお客さんには投資信託を回転売買させたり外貨建ての平準払い保険を販売して手数料を稼ぎます(銀行で投資信託買うと骨までしゃぶり取られますよ。利益が出ても損が出ても次々商品提案されますから)。毎日本部から還元される資料には顧客別、投信損益リストがあります。これは利益確定させるか損切りさせて次の商品を売れという指令なのです。基本的に彼らの頭にあることは収益になるかならないかそれが大事なのです(営利企業なので当たり前ですね)。フィデューシャリーデューティ、長い横文字を使ってそれっぽいことを言うのはお家芸です。

支店の成績は上期、下期の半年間を1000点満点で評価されます。表彰基準は本部から毎期末に還元され、これが経営側が支店に推進してほしい営業方針となるわけです。この1,000点満点で高得点を叩き出し、『表彰』を取ることが銀行の支店の目的となります。『表彰に』どれだけ貢献したか=支店への貢献度ということ。表彰基準1000点の中身は事業性融資(プロパー資金)の平残、信用保証協会付き融資の平残、資金利益、役務収益、住宅ローン融資額、事業融資の新規数、金融商品販売額(投資信託、年金保険、平準払い保険、証券会社への連携など)、クレジットカード、関連会社の活用、投資信託口座新規、NISA口座など、あと銀行の経営者の方々のお考えで様々な商品を割り振ってきます。

1人の支店長は概ね2年間一つの支店にいます、つまり上期下期という単位では4期やるわけですね。その中で表彰を一回も取れないと次は支店長やらせてもらえなかったりします。自分の支店長が出世していくことが自分自身も出世する道なのでみんな必死です(戦国時代の足軽と同じです)。ちなみに地銀の存在意義である地域経済の活性化を考えている営業マンはいません。大義の前に自分の生活ですから。できる営業マン=彼が通った(転勤した)後はペンペン草も生えない営業マンということです。

また今期は支店が表彰を取れると見込みが見えてきたら案件の時期の調整する能力(資金付するアパートの竣工を先送りにしたり、投資信託の購入のタイミングを翌月にしたり)や、本部から急に降ってくる商品(投資信託の新銘柄やクレジットカードの加盟店など)をすぐに獲得できるように『言うことを聞く』お客さんを何人も持っておくことが重要となります。

基本的には銀行はリスクのある融資はしたくありません。短期倒産されると支店の成績が良くても表彰がぶっ飛んだりするからです。窓口にてお客様から『今度独立してラーメン店を開業するので開業資金500万円貸して』とか言ってきても基本的には後ろ向きです。信用保証協会の開業制度を使えば対応することもあります。保証協会がつけばお客さんに倒産されて貸金が焦げ付きそうになっても保証協会(もともとは税金で)が返してくれるので安心ってわけです。お客さんは保証料かかりますけどね。

 

壱店舗目(暴力事件と業務改善命令)

●入社まで

私はコネ入社となります。就職氷河期がギリ残っていた時期なので助かりました。バイトで家庭教師していた生徒のお父さんが役員さんだったんですね。『うちくる?』『いくいく!』みたいな簡単なノリで入社させてもらいました。圧迫面接の時に『あ、あ、頑張ります、フヒヒ』ってなりましたけど普通に入れてくれました。役員からの紹介で落とす選択肢はないのです。入社が決まった後は家庭訪問があります。実家の最寄り店の支店長がどんな家に住んでいるか、まともな家族なのか偵察に来るわけですね。ご実家が遠方の新人の実家にも見に行くらしいです。入社の時に元セクシー女優の子を採用してしまい、採用担当の人は窓際に飛ばされてしまったのはいつくらいの事件でしたでしょうか。信用第一の銀行では身元は特に大切なのですね。そして入社時には保証人が2人必要です、私は父ちゃんとじいちゃんに頼みました。銀行のお金を横領をしちゃった時に補填させるためです。入社5年間は保証人が死亡などでいなくなると追加の保証人を要求してくる仕組みです。手続きが終わっても入社までのんびりもしていられません、ネットを使って入社前研修が行われます。証券外務員と簿記の準備が始まります。証券外務員は取得すると投信の回転売買の世界に入門しますので、営業をしたくない頭のいい女子行員は敢えて試験に落ちまくるという強者もいます。10年以上同じ試験に落ち続けているので大した肝っ玉です。

●初任店は幹事店でした。銀行は営業エリアごとに数か店集まって『ブロック』というのを形成しています。その中のリーダーの店を幹事店と呼び職員数も多いです。新入社員みたいに戦力にならない人間も職員数がたくさんいればお荷物感が薄まるので、配属されやすいんじゃないでしょうかね。同時に入社したのは女の子、この子も縁故入社です、地元の上場企業の役員のご令嬢。新人の朝は早いです。支店の職員の入り口が開くのが7時50分です。先輩達が集まる前に、だいたい7時半には会社に来て店の周りの掃除と放置自転車の移動をしないといけません。支店が開いて先輩方がミーティングしている時にはみんなの机拭いて回ったり、コピー機の補充や為替の通信の仕分け、ATM周りや応接の掃除なんかもやらないといけません。皆さんご存知のとおり銀行は9時オープンです。必ず9時に開店しないといけません、これが少しでも遅れると金融庁に報告になるからです。台風でも大雪でも必ず開けます。なのでそういう日にはあらかじめ支店の周りに宿泊する人が出てきます。

●入社すると最初3ヶ月(試用期間中)は毎日定時に帰らせてもらいます。帰ってからは勉強しないといけません。入社1年目に銀行業務検定の法務、税務、財務のそれぞれ3級、証券外務員一種、保険募集人(定額保険、変額保険、火災保険、自動車保険など)、FPの資格、社内資格の法人営業者資格試験があります。これに落ちると人事考課が下がります。上席も勉強させてないのかと人事に睨まれますので勉強プレッシャーは半端じゃないです。また係長、支店長代理とステップアップしていくのには資格をどれだけ持っているかで足切りしてくるので新入社員も必死です。もし同じ成績で並んだら保有資格の多い方を取りあげますからね。

●休日は上記試験の他に社内イベントが盛り沢山です。運動会、野球大会、バレーボール大会、フットサル大会、地域のお祭りへの参加(踊ったり神輿担いだり)、社内旅行(私のころはありました)、日帰りオリエンテーション、宿泊オリエン(地引き網)、SFデー(素晴らしいふれあいデーといいます。ボーリングしたり野球観戦したり)、海岸のゴミ拾い、ゴルフのコンペなどなど。慣れない社会人で休日くらい休みたい、もしくは若さゆえ遊びたい盛りの新人達はげっそりした顔で集まるのですが、支店長はご満悦です。休みの日に会社のため(自分のご機嫌とりのため)に部下行員が自分の時間を使えるのかを計るのが楽しいわけです。他にも取引先に大きな神社がある支店では1月2日にお賽銭の集金もありますね。正月出勤手当で5,000円くらい貰えますよ、やったぁ。うちの社内旅行では3年目の女子行員が営業次長と関係を持ったと大騒ぎしていましたが、そんなのは日常茶飯事です。どこか他の店内旅行も支店長と営業次長がパートさんと仲良しになって、ご主人が銀行に怒鳴り込んでくるという事件も発生しましたね。

●私は1店目は窓口に座っていました。最初6ヶ月は預金係で勉強、その後はローン窓口です。お客さんの住宅ローンの金利の切り替え、繰り上げ返済、外貨両替、外国送金、年金担保融資など。ローン班では私の他は役席と女性職員2人というメンバー。窓口では私を挟んで先輩の女性職員が仕事のわからない私をフォローしてくれるって並びでした。とても優しい配置ですね。さらに先輩にお客さんをわざわざ受けさせてはいけないシステムです。私は外貨両替受けて用紙を書かせている間に、住宅ローンの金利の説明して、年金担保融資を追い返してと3役の動きでした。きっとマルチタスクができるようにとの先輩の配慮だったのでしょう。ありがたいことです。前述の3年目の先輩は仕事で同じことを聞くとゴミ箱を私の机にぶちまけるのですが『早く仕事覚えて頑張るのよ!』という愛情表現です。ウブな私は堕ちるとこでした、恋に。

●そんな中、事件が発生しました。銀行では融資を他の銀行に借り換え(被シフト)されてしまうと支店成績にマイナスがついてしまいます。当時の支店長は銀行の中でも指折りの武闘派でした(普通に電話機とか飛んできます)。融資係の役席のSさんは前の月にお客さんから他行に借り換えを考えていると相談が来ていたのですが、支店長へのあまりの恐怖に報告できないでいました。早めに報告していれば金利を下げるだけで済んだかもしれませんが、下げた分の資金利益を穴埋めする新しい融資案件を探してこないと支店長は納得してくれません。そうこうするうち、お客さんの口座に他行から億のお金が振り込まれてきました。こうなると大変です。お客さんを応接にお通し(軟禁し)て翻意していただくよう何時間も説得(メインバンクを敵に回さない方がいいですよ?と)します。中には元の銀行に資金を送り返す支店長もいたみたいです。しかしその時のお客さんは『あらかじめ相談して義理は通していたんだし』とご納得いただけません。いたたまれず土下座するSさん(銀行で土下座は普通です、私も何回も経験あります。)。それでもお客様はご納得いただけません。感極まった支店長はSさんの顔を蹴るというパフォーマンスをするも逆にお客さんはドン引きです。パートさんは泣き出すし恐ろしい会社に入ったものだと戦慄しました。結局億単位の被シフトをくらってしまいその期の支店成績はドボンとなりました。その後お客様から本部に連絡が入り暴力行為ということで武闘派支店長は本部で冷却扱いとなりました。支店長は出世のために役員の娘と結婚し苗字も変えるようななかなかのやり手。自分の住宅を買う時にも銀行の名前を出して『俺は〇〇銀行の審査役(当時)だぞ、仲介手数料を下げないとどうなるかわかっているんだろうな』という交渉もやってのけるやり手(2回目)でした。冷却期間が終わりまた別の幹事店で働いているときに支店の経費を私的流用したところを部下から告発され、ついには関連会社に封印となりました。スルガ 銀行さんの報告書を読みましたが別にあのくらいの詰めどこの銀行でもありますよ。

●翌年になると後輩も入社してきます。私の次の年次は4人(男性2人女性2人)です。そのうち私と仲が良かった1人M君がおもしろ事件を起こしてくれました。Mは同じ寮にいたのですが都内で暮らしたいといつも語っていました。しかし問題となるのはお金らしく‥。今ではシェアハウスなどで費用を抑えることも普通になってきましたが、当時はそんな言葉もなく引っ越すにはある程度のお金が必要です。そんな中でもM『学生時代の友人と一緒にルームシェアをするっす!』と息まいていましたね。そのことを上席(同じ係だったので同じ役席ですね)に相談すると『情報漏洩の可能性がある、ルームシェアは認められない』とのこと(銀行の規定で情報の持ち出しは出来ないのに漏洩もないはずですが)。しかしMは諦めません。『実家に帰るって言えば大丈夫っす』と引っ越してしまったのです。しばらくは順調に暮らしていたみたいですが、ある時支店長応接に呼びだされました。一般的に支店長応接に呼び出されていいことはありません。Mは『ヤバイっすー。バレたかもしれないっすー』と怯え顔です。ややあって『なんとか誤魔化してきました』とのこと。営業時間中でなければ監視カメラで音を拾って楽しめたのですが、仕方ありません。その日15時を回ってシャッターが閉まった後、再度の呼び出しです。その時のことをMは教えてくれます。『支店長の他、預金と融資(我々の係ですね)の次長と役席が座っていて終わったと思いました。』支店に抗議の手紙が来たみたいです。内容は「ゴミの分別ができていないがお宅の銀行ではどういう指導をしているのか、一緒に名刺が捨ててあったので支店長宛に抗議申し上げます」ってことでした。つまり手紙の送り主はゴミを漁って中身を調べあげたということです。その日彼は家庭訪問をされ情報もないとのことでことなきを得ました。しかし役席からは『あおやん、お前知ってたか?』と聞かれ『知ってましたよ、ウケますねーw』と応えると『なぜ報告しないんだ!』としこたま怒られましたとさ。銀行では上司に報告すると事件の責任は上司の責任という文化があります。身を持って学んだ日でした。

●業務改善命令。耳にしたことがありますでしょうか?金融機関などで不祥事が起きると金融庁から『ちゃんと仕事してください!』と怒られることです。これが起きても是正ができない銀行は業務停止命令が出ます。一昨年くらいに騒ぎになったスルガ 銀行、確か一部業務停止命令をいただいていた思います。業務停止命令が出なくとも業務改善命令だけでも大変なことです。お客さんからの信用がなくなりますからね。預けたお金を着服されたり、不正融資でひょっとしたら返ってこないかもしれない会社に融資するわけです。銀行は信用商売です、そんな怪しい銀行に預金したくないですからね。当時は着服や不正融資(当事者と同じ店になったので少し話を聞きました)が相次いで発覚したころでした。不正融資案件ですが保証協会に提出する謄本を改竄したそうです。法務局に行かずともインターネットで登記簿謄本を取得することができますが、このインターネット謄本をスキャンして画像ソフトで改竄するという手口です。令和になった今でもお客さんの収入書類をよく見せてあげるよう加工する癖は抜けていないみたいですが。お客様の資金繰りと支店の業績のために持てるスキルをフル活用したんですね。

信用保証協会は各県ごとに設置されています。そしてその保証協会を利用するにはその県に支店や営業所があることが必須になります。それを書類の上で作ってあげたということです。なぜバレたか?各銀行は保証協会の枠を取り合いしています。保証協会は無担保で8,000万円有担保で2億円まで融資の保証を行ってくれます。つまりこれが融資判断をしなくても『保証協会ついてるからいいや』で融資ができる大切な枠なのです(保証協会が付いていれば安心な融資なので貸倒引当金がすごく少なくてすむので)。この枠、信用保証協会に連絡すると残りいくらあるか教えてくれるわけです。ここで感のいい他行の営業マンが気づき『なんかあそこの会社おかしくないですか?』とたれ込んだわけです。不正融資をする方もする方ですが、チクる方もチクる方です。ハイレベルな攻防です。

 

さてそんな私にも初転勤の話が出てきました。長くなったので続きは次回。